はじめに
キシリトールが虫歯予防に効くらしい。
これは、キシリトールガムのCMのおかげで大分広まったと思いますし、ガムも相当売れたと聞きます。でも、ガムを買う時に、 “よ〜し!虫歯予防のためにキシリトールガムにするぞ!”と大きな目的をもって買っている方って、いますか?
嫌な言い方をすれば、ガムメーカーにとっての一番の目的は虫歯予防ではなく、ガムが売れることです。 キシリトールが虫歯予防に効く、という文句は何気なく噛んでいるガムが、健康増進につながるかも?という付加価値をつけたことで、 大成功を収めたとも捉えられなくありません。
僕らは歯科医師であり、一番の目的は皆さんの健康維持。
確かに虫歯予防効果のあるキシリトールですが、適当にガム噛んでいるだけではあまり意味がありません。
このページでは、虫歯予防のためのキシリトール応用のホントについてお教えいたします。
キシリトールって何?
キシリトールは主に白樺や樫の木などに含まれる、キシラン・ヘミセルロースという成分を原材料に作られた、天然の甘味料です。 その甘みは砂糖と同程度にもかかわらず、カロリーはその4分の3しかないことが特徴です。
FAO(世界食料農業機関)/WHO(世界保健機関)合同食品添加物専門家委員会(JECFA)において、安全性の高い食品添加物であると認められています。 日本では1997年に、旧厚生省がキシリトールを食品添加物として使用すること許可しています。
しかし、取り過ぎ(一日にキシリトール量として20〜30g以上)によって下痢を起こすこともあります。
キシリトールガムの効果
虫歯にならないだけの甘味料であれば、他にもいろいろありますが、虫歯予防を考えるとキシリトールが最も効果的です。 その働きは以下の3つであり、これらすべての効果を備えているのはキシリトールだけです。
@ 虫歯菌(ミュータンス菌)の数を減らす。
糖類をえさとするミュータンス菌はキシリトールを取り込んでも、生きていくエネルギーにすることができず死んでしまいます。 日常的にキシリトールを摂取することにより、ミュータンス菌の数が減っていくのです。
A 歯の再石灰化を助ける。
ミュータンス菌は砂糖をえさにして、酸を作り出します。この酸によって、歯が溶けていくことを脱灰といい、その結果虫歯になります。 だ液には酸をなくそうとする治癒力があり、それを再石灰化といいます(詳細はこちら)。
キシリトールをえさにできないミュータンス菌は、酸をつくることもありません。酸性度が下がらなければ、歯の表面は脱灰を起こしません。 また、だ液による再石灰も効率的にはたらく環境になるのです。
B だ液がたくさんでていいことがいっぱい。
キシリトールのひんやりとした甘さ(冷涼感)と、ガムを噛む効果で、だ液の出る量が多くなります。だ液は再石灰化とともに、虫歯菌を洗い流す効果(自浄作用)もあります。 だ液が増えることはお口の中では、いいことだらけなのです。
市販品の落とし穴?
これはあるキシリトールガムのパッケージにある成分表です。
ここで、虫歯予防としてキシリトールを使うときの注意点が3つあります。
@ キシリトールの含有率が50%以上あること
キシリトールの含有率はキシリトール(g)÷炭水化物(g)×100 で計算出来ます。
ちなみにこのガムでは、7.0g÷16.3g×100=46.6%です。キシリトールは高価なものですので、メーカーとしては出来るだけ少なくしたいのでしょうか? 同メーカーの同商品でも年々、キシリトールの含有率が下がっているようです。
キシリトール含有率50%は虫歯予防効果の最低ラインで、出来れば90%以上欲しい所です。
ちなみに歯科医院専売品は100%です。
A 糖類が0gであること
いくらキシリトール入りでも、虫歯菌のエサである糖類が入っていては非常に残念です。このガムでは糖類0gとあるのでOKです。 キシリトール以外の甘味料としてはソルビトール・マルチトールのようなものがよいです。一般的に○○トールという甘味料はキシリトールと同じ糖アルコール類で、 似たような構造をしており、虫歯にならないことが特徴です。
B 酸性物を含まないこと
それ自体が酸性である、クエン酸や果汁入りなどのものは避けるとよいでしょう。その酸性度にもよりますが、脱灰の危険性がないとは言えないからです。
キシリトールで虫歯を予防
キシリトールで特保は、ロッテキシリトールガムだけ。※機能成分として
で、おなじみのキシリトールガム。同じロッテのキシリトールガムでも市販のものと歯科医院専売品は違う事を知っていますか? 市販のロッテ・キシリトールガムは特定保健用食品表示(虫歯予防目的)として
摂取量:1回に2粒を5分噛み、1日7回を目安に、1週間続けると効果的です。
と挙げています。14粒入りですから、1日に1本噛んでください、ということになります。 これ、本格的に虫歯予防の為に継続して使おうとしたら、結構負担だと思いませんか?引き換え、歯科医院専売品はというと…?
虫歯予防としてキシリトールを使う場合は、キシリトール量として、1日5g以上摂取する必要があります。 歯科医院専売品のキシリトールガムは、キシリトール100%です。混ぜ物が一切ないため、1日4粒咬むと、 虫歯予防に必要なキシリトールを摂取することができます。
また、硬さも市販品の約2倍あります。キシリトールの甘みはすぐなくなってしまいますが、15〜20分は咬み続けましょう。長い時間歯の表面に触れるとともに、だ液がたくさん出てきて虫歯予防の効果が高まります。
歯科医院専売のキシリトールガムを朝、昼、晩、寝る前の歯磨き後に20分咬む
これが、最も効果的なキシリトールガムの利用法です。それでも、ちょっと大変ですけれどね…。キシリトールを利用するならガムが一番理想的ですが、ガムを噛めない小さいお子さんはタブレットでもいいでしょう。
ただ、キシリトールガムをいくら噛んでも、出来てしまった虫歯は治りませんよ!
当院で扱っているキシリトール商品
◆ キシリトールガム ボトルタイプ ◆ 歯科専用キシリトールガム ¥980 内容量153g、約90粒入りです。 味は「アップルミント」「マスカット」「クリアミント」の3種類です。 1日3回(1回あたり1粒)噛んだとして約1ヶ月分です。 |
◆ キシリトールガム ラミチャック ◆ 歯科専用キシリトールガム ¥260 内容量35g、約21粒入りです。 味は「アップルミント」「マスカット」「クリアミント」の3種類です。 1日3回(1回あたり1粒)噛んだとして約1週間分です。 |
◆ キシリトールタブレット ◆ キシリトール製品 ¥230 内容量35g、約70粒入りです。 味は1袋に「グレープ味+いちご味」の2種類入っています。 1日3回(1回あたり3粒)食べたとして約1週間分です。 ガムを噛めないお子さん、治療中の方におススメです。 |
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