はじめに


むし歯になる原因って何ですか?

こんな簡単そうな質問なのに、正確に回答を返してくれる方はほとんどいません。考えてみたら、 お口の中のことってしっかり教えてもらった記憶ってあまりなくはないですか?歯ブラシにしてもたいていは自己流で、それが正しいかどうかって知らなくはないですか?

原因が分からなければ、その対処法・予防法も何もありません
このページでは、むし歯の原因について再確認して頂き、その上で予防法をお話ししていきたいと思います。

むし歯はれっきとした病気です。人間は歯を失っても頭を使い食事形態を工夫することで、なんとか生きながらえることができますが、 自然界の動物たちにとって歯を失うことは、死を意味します。生涯自分の歯で美味しく食事が出来ることは何よりの喜びであり、楽しみではないでしょうか?

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むし歯になる最大の原因


歯磨きはちゃんとしている、甘いものは控えている、それでもむし歯になる人とならない人がいる。一体何が違うの?
むし歯がなぜ、どのように出来るのかをまずしっかり理解しすることが予防の第一歩です。

◆ むし歯菌(ミュータンス菌)の存在 ◆

なぜ、むし歯になるのか?それは、大前提としてミュータンス菌がお口の中に存在するからなのです。 ミュータンス菌は大好物の糖類をエサに増殖し、その代謝物として出した酸によって歯を溶かします。 ですので極端な話、ミュータンス菌が全くいなければ、甘いものを好きなだけ食べて、歯を磨かなくてもむし歯になることはありません。

しかし、ミュータンス菌が全くいない人はいないことから、むし歯にならない為には、ミュータンス菌の量をどうコントロールするかが課題になります。 むし歯はミュータンス菌の感染によって引き起こされた化学反応です。
むし歯を科学的に考えれば、その予防法はおのずと導きだされます。

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むし歯の予防法@  ミュータンス菌の量をコントロールする


ミュータンス菌の量を物理的に少なくする方法は、もちろん歯ブラシです。歯を爪でなぞると着いてくる、白いモヤモヤ。 あれは、食べカスではなく、プラークと呼ばれる細菌のかたまりです。 歯ブラシをしない人はまずいないでしょうが、皆さんしっかりプラークが磨きとれているかというと、これはなかなか難しいところではあります。

文面でアレコレいうよりも、是非一度、歯科医院でプロ(歯科衛生士)のブラッシング指導を受けられてください。

乳歯のむし歯は、萌え換わるから放っておいても関係ないと思っていませんか?
おじいちゃん、おばあちゃん世代くらいだと、それが定説になっていたりいなかったり…。
これは、とんでもない大間違いです!!

生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中に、ミュータンス菌はいません。赤ちゃんに接する人たちの「だ液」を介して感染するのです。 ミュータンス菌の遺伝子型から、母親由来のものが多いことが分かっています。また最近では、“イクメン”の出現により、父親由来のミュータンス菌も多くなってきているというデータもあります。

1歳半〜2歳半の間はミュータンス菌に感染しやすい最初の時期で、特に気を付ける必要があります。食物の噛み与えはもちろん、箸や食器の共有も避けるようにしましょう。 その後、むし歯菌の感染しやすい時期は6歳・12歳前後、いずれも奥歯が萌えてくる時期です。面積も大きく複雑な形をした奥歯は、むし歯菌の恰好の住みかです。 よく観察出来ない上、歯みがきもしづらいので注意しなければならない場所です。

ここで大切なことは、まず、子どもに接する大人たちのお口の環境を整えミュータンス菌の感染を防ぐ、
もしむし歯になってしまったらすぐに治療をし、お口の中のミュータンス菌を可及的に少なくしておくことです。


キシリトール3DSによる、ミュータンス菌の減少方法は別のページでお話しします。

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むし歯の予防法A  食習慣(糖類の摂取)を見直す


いわゆるあの甘い砂糖(ショ糖)はむし歯菌にとって一番のエサです。 また、むし歯菌のエサとなる糖類は、ショ糖だけではありません。 お米を分解して出来るブドウ糖(小学校の理科ですね。)、果物に含まれる果糖などなど。

このような糖類を摂り続けることは、お口の中でミュータンス菌を養殖しているようなものです。 砂糖のたっぷり入ったお菓子などはやはり、極力抑えるに越したことはありません。 間食は、ショ糖に比べて比較的むし歯になりにくい糖類を含む、フルーツやヨーグルトなどに置き換えてあげるとよいでしょう。 せっかくですから、咬みごたえがあり顎の発育も促すことのできるスルメ、小魚なども良いのではないでしょうか。

諸説ありますが、牛乳・母乳に含まれる乳糖も少なからず、むし歯の原因になると考えられます。 2歳近くになって、添い乳で寝かしつけている子の前歯に頻発する虫歯は、母乳以外に原因が見当たらないからです。 寝かしつけた後に、ガーゼなどでそっと拭ってあげるとよいでしょう。 卒乳の時期は、むし歯のことを考えると1歳半くらいが良いと思われます。

砂糖を控えることで、むし歯菌の活動を抑えることにつながると覚えていてください。

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むし歯の予防法B  食べたらすぐに歯磨きをする


むし歯菌はお口の中に食べ物が入った瞬間から、糖を分解し酸のウンチを出し始めます。この酸は歯の表面のエナメル質を溶かし始めます。 これを脱灰と言います。

しかし、お口の中では脱灰から歯を守ろうとする働きがあります。これを再石灰化 といい、主にだ液がその働きを担っています。

脱灰と再石灰化の境界線を臨界pHといい、その値はpH=5.5前後です。この値を超える(低くなる)と歯の表面は溶け始めます。 むし歯菌の出す酸だけでなく、酸性度の強い食品でも溶けだすことに変わりはありませんので、注意が必要です。

日常、お口の中はこの脱灰と再石灰化を繰り返しています。しかし、甘いものがずっとお口の中にあったり、プラークが停滞していたりすると再石灰化に至らず、 むし歯になってしまうのです。ダラダラおやつを食べ続けたり、あめやキャラメルなどがむし歯にはよくないと言われるのは、この為です。

以前、継続的に診ていた患者さんで、急に歯と歯の間のむし歯が増えた方がいらっしゃいました。6ヶ月程度で一気に増えていましたので、何か生活に変化はありましたか? と伺ったら、ケーキをつくる仕事に就かれたのだそうです。味見をする為に、常にお口が砂糖に晒されていたのですね。あまりに出来たような話ですが、実際のおはなしです。

ですので、食後はなるべく早いうちに歯ブラシを、おやつは決められた時間に適量を摂るのが好ましいですね。

余談ですが、院長しまだが大好きなコーラは砂糖を大量に含むだけでなく、pH=2.2という強酸性です。
こんなものもまた注意しなければいけませんね!


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むし歯の予防法C  歯の質を強化する


酸で歯が溶けだすのであれば、歯そのものを酸から溶けにくく(耐酸性)する方法はないものか?
という考えが、当然出てくると思います。

歯そのものを強くする働きをするのが、フッ素です。

しかし、フッ素がなんとなくむし歯予防に良いとは知っていても、きちんと効果的に利用している方がほとんどいないのは、非常に残念なことです。 フッ素に関するページを用意しましたので、是非ご覧ください。

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保護者の方へ


むし歯が痛みを出したときは、かなり進行した状態です。特に子供の場合は、痛みのないまま神経まで達していることも少なくありません。 また乳歯期にむし歯が多い子は、永久歯でもむし歯になりやすい傾向にあります。
乳歯のむし歯は萌え換わるから関係ないなんて、とんでもありません。

ここまで読んで下さった方は、なぜそうなのか、お分かり頂けてると思います。

むし歯は科学的に考えれば、確実に予防のできる病気です。
その為には、正しい知識を保護者の方が身につけてください。

しまだ歯科こども歯科クリニックからの心からのお願いです。

子供のむし歯を防ぎ、その子が大人になってからも歯で苦労するかしないかは、
親や保護者である私たち大人の責任なのです。


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