はじめに
むし歯予防にフッ化物が効果的ということは、大分一般的に広まってきました。
ですが、誤った知識で何となくフッ化物を使っていても、十分な効果は得られません。
日本人に一番欠如しているのは予防意識です。 予防処置は今すぐ目の前で効果が見えるものではありません。
だからこそ、まずは正しいフッ化物の知識を身につけてください。その見返りはとてつもなく大きいものです。
お子さんの歯をむし歯から守るのは子供自身ではなく、親の責任です。子供の健康を守るのが親の努め。
フッ素はそのための積立貯金です。20歳になった時、きっと大きな利息が付いて戻ってくることでしょう。
是非、しまだ歯科こども歯科クリニックにそのお手伝いをさせてください。
フッ素って何?

このように普段の食事から自然に摂取されているフッ素ですが、むし歯予防に十分な量のフッ素を食事のみから得ることはできません。
むし歯予防へのフッ化物応用
むし歯予防として日本で認められているフッ化物の応用方法は以下の3つだけです。
![]() |
@ フッ化物配合歯磨剤(歯みがき剤) むし歯予防効果は20〜30%(乳歯・永久歯) 現在市販されている商品の約85%にフッ化物が配合されており、ほとんどの方が普段の歯みがきで自然と使っているでしょう。 法律で市販品のフッ素濃度は全て1000ppm以下と決められています。市販品にはフッ化物塗布剤と紛らわしい商品名のものが存在しますが、 ドラッグストア等で購入できるフッ化物入り製品はすべて歯みがき剤と同じ扱いです。 |
![]() |
A 歯科医院でのフッ素歯面塗布 むし歯予防効果は30〜40%(乳歯・永久歯) 歯科医院で使われるフッ化物歯面塗布剤は、歯みがき剤の約10倍(9000ppm)という高濃度のものです。 後述しますが、歯みがき剤のような低濃度のフッ化物とは歯への作用の仕方が異なります。 医薬品であり、市販されていることは絶対にありません。つまり、市販品は歯科医院のフッ化物塗布剤の代わりにはならないということです。 |
![]() |
B 学校やご家庭でのフッ素洗口(フッ素うがい) むし歯予防効果は50〜80%(永久歯) フッ素洗口は一部の幼稚園や小学校で行われています。予防効果は3つの中で最も高く、しかも群を抜いています。 4歳から14歳まで継続することで、20歳でのむし歯保有率は半分以下というデータがあります。当院でも強くお勧めしています。 |

※ 特定の商品を誹謗中傷するものではありませんが、メーカーさんも紛らわしいネーミングは控えて頂きたいものです。
フッ化物応用の化学・メカニズム
少し難しい化学のお話ですが、フッ化物をむし歯予防に最大限活用するためには大切なお話です。
フッ素は歯の外側にあるエナメル質の97%を占めるハイドロキシアパタイトに作用し、むし歯菌の出す酸から守る耐酸性をもつ組織、“フルオロアパタイト”に変化させます。 歯みがき剤やフッ素洗口による低濃度のフッ素と歯科医院で塗布する高濃度のフッ素では歯面への作用の仕方が異なります。
低濃度のフッ化物 ハイドロキシアパタイト + 2F-(フッ素イオン) ⇔ フルオロアパタイト![]() 高濃度のフッ化物 ハイドロキシアパタイト + 20F-(フッ素イオン) ⇒ フッ化カルシウム |
歯みがき剤やフッ化物洗口による低濃度のフッ化物で出来たフルオロアパタイトはフッ素イオンを溶出し、再びハイドロキシアパタイトに戻ってしまいます。 しかし、そこに歯科医院で塗布する高濃度のフッ化物で出来たフッ化カルシウムがあると、徐々にフッ素を溶出し、再度エナメル質と反応してフルオロアパタイトを生成します。
このようにして低濃度のフッ化物と高濃度のフッ化物の相乗効果により、 歯の表面は常に耐酸性のフルオロアパタイトの状態を維持することができるのです。 フッ化物を活用する上で一番大切なことは、継続して使い続けることです。 期間を空けたり、時々行うだけではフッ化物の効いていない時間が多くなるため、効果が薄くなってしまうのです。
フッ化物の開始時期
フッ化物処置は歯が生え始めたときが開始時期です。当院では3ヶ月に1回のフッ化物塗布、ご家庭での歯磨剤とフッ化物洗口をお勧めしています。
時折、1歳半健診、3歳児健診の時に保健所でフッ化物塗布をしたので、ずっと効果があると思われている方がおられますが、これは大きな間違いです。 保健所でのフッ化物塗布は一つのきっかけであり、それ以降も継続することが重要です。
Copyright (C) 2011 しまだ歯科こども歯科クリニック. All Rights Reserved.